前田真吾医師が参画する 国際研究、ブルガダ症候群の遺伝子 変異と臨床像の関連を解析

心室性不整脈イベントを経験した392例を 対象に、発症年齢や家族歴との関連を検討

2026-09-24 11:44
東京昭和医院

 前田真吾医師(東京昭和医院 総院長)が共同著者として参画する国際研究グループは、ブルガダ症候群におけるSCN5A遺伝子の変異と臨床的特徴との関連を報告した。研究成果は2021年、医学誌「Circulation: Genomic and Precision Medicine」に掲載された。心室性不整脈イベントを経験した患者を対象に、遺伝的背景による臨床像の違いを検討した研究である。
 ブルガダ症候群は、心臓の電気活動に異常が生じ、重篤な心室性不整脈や突然死につながることがある疾患である。SCN5Aは、心臓の電気信号の伝導に関わるナトリウムチャネルを構成するタンパク質をコードする遺伝子で、その変異と臨床症状の関係が研究されている。
 本研究は、14か国の患者678例を集めた国際多施設調査「SABRUS」のデータに基づく。このうち、適切な遺伝情報が得られた発端者392例を解析した。発端者とは、家系内で診断や遺伝学的調査のきっかけとなった患者を指す。対象者はいずれも心室性不整脈イベントを経験していた。
 解析対象の92例でSCN5A変異が確認され、44例は病的または病的可能性が高い変異、48例は臨床的意義が不明な変異に分類された。残る300例はSCN5A陰性だった。変異の検出と病原性の判定は区別されており、検出されたすべての変異が病因として確定しているわけではない。
 病的または病的可能性が高い変異を持つ群では、陰性群に比べ、初回イベント時の平均年齢が若く、36.6歳対42.2歳だった。また、突然死の家族歴を有する割合は41.9%対16.8%と高かった。性別や民族的背景による構成の違いも認められ、遺伝子と臨床像の複雑な関連が示された。
 発熱時のイベントは、病的または病的可能性が高い変異を持つ群で多い傾向にあったが、統計学的に有意な差は認められなかった。この点は、今後の検証を要する所見と位置付けられる。
 研究結果の解釈には対象集団への留意が必要となる。本研究は、すでにイベントを経験した患者の特徴を比較したものであり、無症状の患者が将来イベントを起こす確率を直接示すものではない。遺伝子検査の結果だけで個人の予後を判断できるという結論でもない。
 研究グループは、今回認められた関連について、民族的背景を考慮した大規模な国際前向き研究で検証する必要があるとしている。本研究は、遺伝情報と臨床情報を組み合わせたリスク評価を検討するための資料となる。

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