資産サービス市場規模48.56百万米ドル予測:世界の産業現状、競合分析、成長動向2026
資産サービス世界総市場規模
資産サービス市場の構造変化
資産サービスは、金融機関や機関投資家が保有・運用する資産について、カストディ、ファンド管理、会計、証券貸借、投資運用オペレーションなどを支援する金融インフラです。近年は、運用コストの削減、業務効率化、専門人材・技術の活用を目的として、非中核業務を外部サービスへ委託する動きが拡大しています。2026年9月に公表されたNorthern Trustの調査では、北米・EMEA・APACの資産運用会社300社を対象に、非中核業務のアウトソーシングを成長戦略に活用する企業の割合が2024年の18%から2026年には39%へ上昇しました。

QYResearch調査チームの最新レポート「資産サービス―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2026~2032」によると、資産サービスの世界市場は、2025年に46.95百万米ドルと推定され、2026年には48.56百万米ドルに達すると予測されています。その後、2026年から2032年にかけて年平均成長率(CAGR)3.8%で推移し、2032年には60.74百万米ドルに拡大すると見込まれています。

資産サービス市場:金融機関のアウトソーシングとAI活用が変える運用オペレーション
▪アウトソーシングが資産サービスの成長を支える
資産サービスにおけるアウトソーシングは、単なるコスト削減策から、事業運営モデルそのものを再設計する手段へ変化しています。金融機関は、ファンド会計、カストディ、データ処理、証券貸借などの定型業務を専門事業者へ委託することで、自社の経営資源を商品開発、投資判断、顧客サービスなどの中核領域へ集中できます。
一方で、すべての業務を外部化する動きが一方向に進んでいるわけではありません。2026年のNorthern Trust調査では、資産運用会社がコスト管理を強化する一方、資産保有者では投資運用オペレーションの一部を社内に戻す動きも確認されています。つまり今後の資産サービスでは、全面的な外部委託ではなく、業務ごとに内製と外部委託を組み合わせる「ハイブリッド型」の運営が重要になります。
▪AI・データ活用が資産サービスを高度化
資産サービス市場では、AIとデータ基盤の高度化も重要なテーマです。2026年の調査では、対象となった資産運用会社の全社が何らかの形でAIを導入しており、データ品質管理、文書管理、リサーチなどで活用が進んでいます。一方、複数のデータソースを統合することが最大のデータ課題の一つとなっており、AI導入だけでは業務効率化を実現できないことも明確になっています。
そのため資産サービスでは、AIそのものよりも、正確なデータを収集・統合・管理し、監査可能な形で提供できるインフラが競争力を左右します。実際、Northern Trustは2026年8月、銀行データや決済情報へリアルタイムにアクセスできるAPIを資産サービスの機関投資家向けに提供し、手作業の削減とストレート・スルー・プロセシングを支援しています。
▪ファンドサービスの統合化が進む
資産サービスの対象領域は、ファンドサービス、ホスティング・会計、アウトソーシング、証券貸借など多岐にわたります。近年は、単一業務だけを提供するのではなく、カストディ、ファンド会計、ファンド管理、ミドルオフィス、データサービスを一体化する方向が強まっています。
例えば2026年7月、Northern Trustは米国ETF向けサービス基盤を開始し、カストディ、ファンド会計、ファンド管理、トランスファー・エージェンシーなどを統合したサービスを提供しました。ETFなど新しい投資商品の拡大に伴い、資産サービス事業者には商品ライフサイクル全体を支える運用基盤が求められています。
▪資産サービス市場の競争環境
主要企業にはState Street Corporation、BlackRock、The Bank of New York Mellon、Northern Trust、HSBC、JPMorgan Chase、Citi Private Bank、BNP Paribas、UBS Group、CACEIS、Nomura Asset Management、Sumitomo Mitsui Trust Asset Managementなどが挙げられます。
競争軸は、従来の保管・会計機能から、グローバルな業務処理能力、データ統合、AI・自動化、リスク管理、複雑な資産への対応力へ拡大しています。Northern Trustでは2026年6月末時点で資産サービス関連の預かり・管理資産が20.0兆米ドルに達しており、規模とテクノロジーを組み合わせた運営基盤が重要になっています。
▪資産サービス市場の今後
今後の資産サービス市場では、「何を外部委託するか」だけでなく、「どの業務を自社に残し、どの業務を専門事業者へ任せるか」という機能別の最適化が進むと考えられます。手数料圧力、投資商品の複雑化、リアルタイムデータへの需要、AI導入が同時に進むなか、サービス事業者には低コストだけでなく、データ品質、業務の透明性、拡張性、リスク管理を含めた総合的な運用基盤が求められます。
本レポートでは2025年を基準年として、2021~2032年の資産サービス市場について売上高(百万米ドル)を基準に分析し、ファンドサービス、ホスティング・会計、アウトソーシング、証券貸借などのタイプ別、資本市場・ウェルスマネジメント会社などの用途別、さらに北米、欧州、アジア太平洋、ラテンアメリカ、中東・アフリカの地域別市場を評価しています。
本記事は、QY Researchが発行したレポート「資産サービス―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2026~2032」 を紹介しています。
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