日本の局所進行膵がん市場2025~2033年、市場規模・企業動向・分析レポートを発表

2026-09-07 18:30
株式会社マーケットリサーチセンター

株式会社マーケットリサーチセンター(本社:東京都港区、世界の市場調査資料販売)では、「日本の局所進行膵がん市場2025~2033年、英文タイトル:Japan Locally Advanced Pancreatic Cancer Market Research 2025-2033」調査資料を発表しました。本資料には、日本市場規模、企業動向、セグメント別予測、市場シェアなどの情報などが盛り込まれています。

■主な掲載内容

日本の局所進行膵がん(Locally Advanced Pancreatic Cancer:LAPC)市場は、2024年に4,709万米ドルに達し、2033年には8,904万米ドルまで拡大すると予測されている。2025~2033年の年平均成長率(CAGR)は7.4%で、市場データの対象期間は2022~2033年、予測期間は2025~2033年とされている。

局所進行膵がんとは、膵臓に発生した腫瘍が周囲の組織や臓器、血管へ広がっているものの、肝臓、肺、遠隔リンパ節などの遠隔臓器には転移していない段階の膵がんを指す。腫瘍が上腸間膜動脈や門脈といった重要な血管に接していたり巻き込んでいたりするほか、十二指腸、胆管、脾臓など周辺臓器に及んでいることもある。こうした局所浸潤の程度が高いため、日本ではLAPCの多くが「切除不能」と判断され、外科手術による完全切除が難しい病態として扱われる。重要な血管や神経に腫瘍が近接または浸潤している状態で無理に手術を行うと、重篤な合併症につながる可能性があるため、非外科的治療が治療の中心となる。

現在の日本における治療は、単一の治療法だけに依存するのではなく、化学療法、放射線療法、分子標的治療、免疫療法などを組み合わせる集学的アプローチが重視されている。化学療法ではFOLFIRINOXやゲムシタビン+ナブパクリタキセルが主要な選択肢であり、特定の遺伝子異常を持つ患者ではラロトレクチニブやエヌトレクチニブなどの標的治療薬、MSI-HまたはdMMR腫瘍ではペムブロリズマブなどの免疫療法が用いられる。精密医療の進展、バイオマーカーに基づく治療選択の普及、日本の医療制度による支援などを背景として、LAPC治療市場は着実に成長している。

市場成長を後押しする大きな要因の一つが、分子標的治療と免疫療法の導入拡大である。従来、日本のLAPC治療はFOLFIRINOXやゲムシタビン+ナブパクリタキセルなどの化学療法を中心としてきたが、近年ではがんの遺伝子変異や分子学的特徴を調べ、それぞれの患者に適した治療を選択する個別化医療への移行が進んでいる。特に日本では、C-CAT(がんゲノム情報管理センター)やSCRUM-Japan GI-SCREENなどの大規模ながんゲノム解析・スクリーニングの仕組みが整備され、膵がん患者における治療可能な遺伝子変異やバイオマーカーの特定が進められている。これにより、従来の一律的な治療から、腫瘍の分子特性に応じて治療法を選ぶ方向へと治療体系が変化している。

具体的には、BRCA変異を持つ腫瘍に対するPARP阻害薬のオラパリブ、NTRK融合遺伝子陽性腫瘍に対するTRK阻害薬のラロトレクチニブやエヌトレクチニブなどが、腫瘍の特定の遺伝的ドライバーを狙う治療法として利用されている。また、MSI-HやdMMRといったバイオマーカーを持つ患者では、免疫チェックポイント阻害薬であるペムブロリズマブの利用も拡大している。こうした薬剤はすべてのLAPC患者に適用できるわけではないものの、対象となる分子異常が存在する患者に対しては、従来の化学療法とは異なる治療選択肢を提供する。

この流れを支えているのが、コンパニオン診断の普及と日本の公的医療保険制度である。患者の腫瘍が特定の薬剤の対象となる分子異常を有しているかを判定する検査が主要医療機関で利用しやすくなり、さらに保険償還によって患者がこうした治療へアクセスしやすい環境が整えられている。また、日本膵臓学会などの診療ガイドラインにも分子標的治療や免疫療法が取り入れられつつあり、実臨床への導入を後押ししている。その結果、分子標的・免疫学的アプローチへの移行は患者予後の改善だけでなく、新薬開発や診断技術の需要拡大を通じて市場成長にも寄与している。

一方で、日本のLAPC市場と治療成績の改善を妨げる最大の課題の一つが、早期発見手段の不足と診断の遅れである。膵がんは早期には明確な症状が出にくく、有効なスクリーニング方法も限られているため、診断された時点ですでに局所進行状態になっている患者が少なくない。診断が遅れることで、根治を期待できる外科切除が可能な期間を逃してしまい、化学療法や放射線療法などの全身・局所治療への依存度が高くなる。

市場という観点でも、この診断の遅れは重要な制約となる。患者が早期の段階で発見されなければ、早期疾患を対象とする新規治療や介入の対象患者が増えにくくなる。また、進行した状態で治療を開始すると、より長期間かつ集中的な治療が必要になるため、患者や医療制度にとって経済的負担が大きくなる。したがって、バイオマーカー研究の進歩、AIを活用した画像診断、全国的なスクリーニングプログラムなどによって早期発見能力を高めることは、患者予後の改善だけでなく、LAPC市場の構造そのものを変える可能性がある。

市場は主として治療法とエンドユーザーによって分類される。治療法別では、化学療法、手術、放射線療法、分子標的治療、免疫療法が含まれ、エンドユーザー別では病院、専門クリニック、研究機関に分けられている。このうち、治療法別では化学療法が最も大きな市場シェアを占めると予測されている。

化学療法は、日本のLAPC治療における中心的な治療法である。抗がん剤によって増殖の速い細胞を攻撃し、腫瘍の進行を抑制することを目的としており、患者の全身状態や臨床的特徴に応じて単剤または複数薬剤の併用療法として使用される。日本でLAPCに用いられる主要な薬剤・レジメンとしては、ゲムシタビン、FOLFIRINOX、ナブパクリタキセル、シスプラチンなどが挙げられ、その他にも臨床試験中または併用療法として評価されている薬剤が存在する。

日本膵臓学会の2022年版診療ガイドラインでは、FOLFIRINOX、ゲムシタビン+ナブパクリタキセル、ゲムシタビン単剤などがLAPCに対する主要な化学療法として推奨されている。日本ではエビデンスに基づく標準治療の遵守が比較的体系化されており、医療インフラも高度であるため、化学療法は幅広い医療機関で利用可能な治療の柱となっている。さらに、腫瘍を縮小させることによって、当初は切除不能と判断された患者の一部を手術可能な状態へ転換できる可能性がある点も、化学療法の重要性を高めている。

今後も化学療法はLAPC治療の中心的な位置を維持するとみられるが、その内容はより個別化されていくと考えられる。現在も新規薬剤やより効果的な併用レジメンを検証する臨床試験が進められており、患者の遺伝的特徴や腫瘍生物学的特徴、全身状態などに応じて最適な薬剤を選択する方向へ治療が進化していくことが予想される。

競争環境では、Bristol-Myers Squibb、Pfizer、Merck & Co.、Fresenius Kabi、Teva Pharmaceutical Industries、F. Hoffmann-La Roche、Sun Pharmaceutical Industries、Merus、CHEPLAPHARM Arzneimittel、Bayer、Eli Lilly、Mitsubishi Heavy Industriesなどが主要プレーヤーとして挙げられている。製薬企業だけでなく、治療機器や医療技術に関係する企業も含まれており、化学療法、分子標的治療、免疫療法、放射線・物理的治療など多面的な競争環境が形成されている。

重要な市場動向として、2024年12月にはZai LabとNovocureが、第3相PANOVA-3試験で良好な結果が得られたと発表している。この試験では、切除不能な局所進行膵腺がん患者の一次治療として、ゲムシタビン+ナブパクリタキセルにTumor Treating Fields(TTFields、腫瘍治療電場)療法を組み合わせた治療が評価された。試験では主要評価項目が達成され、対照群と比較して全生存期間中央値が統計学的に有意に改善したとされている。これは、従来の薬物療法に新しい物理的治療技術を加えることでLAPC治療を改善できる可能性を示す動きであり、今後の治療市場の多様化につながる可能性がある。

全体として、日本の局所進行膵がん市場は、患者数の増加そのものだけでなく、治療方法の高度化によって成長している市場といえる。従来の化学療法を中心としながらも、ゲノム検査、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬、TTFieldsのような新規治療技術が徐々に組み込まれ、患者ごとの腫瘍特性に応じて治療を選択する方向へ移行している。特に、がんゲノム医療基盤と公的保険制度が整備されている日本では、バイオマーカーに基づいた精密医療を実臨床へ導入しやすい環境が市場成長を後押ししている。

一方で、膵がんに特有の早期診断の難しさは依然として大きな問題である。診断時にすでに切除不能な状態になっている患者が多いため、非外科的治療の需要は大きいものの、根治的治療につなげられる患者が限られている。したがって、今後の市場発展には、新薬の開発だけでなく、血液や組織中のバイオマーカーを利用した早期発見、AIによる画像診断精度の向上、高リスク患者を対象としたスクリーニングなど、診断領域のイノベーションも極めて重要になる。

また、今後の競争では、単に新しい抗がん剤を市場投入するだけでなく、どの患者にどの治療が有効かを予測できるコンパニオン診断、ゲノム解析、リアルワールドデータの活用、複数治療を組み合わせた最適な治療シーケンスの確立などが重要になる。特にLAPCでは、化学療法によって腫瘍を縮小させて切除可能にする「コンバージョン治療」の可能性があるため、どの患者が手術へ移行できるかを早期に判断する技術も治療成果を左右する。

市場規模の観点では、2024年の4,709万米ドルから2033年の8,904万米ドルへと約1.9倍に拡大する見通しであり、CAGR7.4%という着実な成長が予測されている。対象となる治療分野は化学療法、手術、放射線療法、分子標的治療、免疫療法で、主要な利用主体は病院、専門クリニック、研究機関である。

この市場調査レポートでは、市場規模や治療別セグメント分析に加え、進行中の臨床試験や製品パイプライン、今後の医療機器・医薬品の技術革新、製品性能、市場ポジショニング、成長ポテンシャルなども分析対象としている。また、患者から得られるリアルワールドエビデンス、医師の治療選択、医療制度や病院再編が製品導入へ与える影響、最新の規制・政策、新興技術、競合企業の市場シェア、新規参入企業なども扱う。

さらに、価格設定や償還制度、市場アクセス、新市場への参入、企業間提携、地域別の成長・投資機会、サプライチェーンリスク、流通戦略、サステナビリティ、規制対応、市販後監視、薬剤経済学、価値ベース価格設定なども分析範囲に含まれている。LAPCでは高額な新規分子標的薬や免疫療法が使用される場合があるため、臨床効果だけでなく、費用対効果や保険償還を含めた市場アクセス戦略が今後ますます重要になると考えられる。

レポート全体は136ページで構成され、42の主要な表と25以上の図表を収録している。想定読者は、製薬会社、医療機器メーカー、バイオ企業、受託製造企業、販売代理店、病院などに加え、規制・コンプライアンス担当者、政府機関、医療経済専門家、市場アクセス担当者、AI・ロボティクス企業、研究開発担当者、臨床試験責任者、ファーマコビジランス専門家、ヘルスケア投資家、ベンチャーキャピタル、製薬企業の営業・マーケティング部門、医療コンサルタント、業界団体、アナリスト、物流・サプライチェーン担当者、患者・患者団体、保険会社、大学・研究機関など幅広い関係者となっている。

※目次構成

  1. 市場の導入および調査範囲
    レポートの目的
    レポートの対象範囲および定義
    調査範囲
  2. エグゼクティブインサイトおよび主要ポイント
    市場ハイライトおよび戦略的示唆
    主なトレンドおよび将来予測
    治療法別市場概要
    エンドユーザー別市場概要
  3. 市場動向
    市場への影響要因
    成長要因
    分子標的治療および免疫療法の導入拡大
    高齢化に伴う膵がん罹患率の上昇
    XX
    阻害要因
    診断の遅れおよび早期発見手段の不足
    化学療法に伴う重篤な副作用
    XX
    市場機会
    プレシジョン・メディシンの進展
    XX
    影響分析
  4. 戦略的インサイトおよび業界展望
    市場リーダーおよび先駆的企業
    新興の先駆的企業および主要プレイヤー
    売上上位ブランドを有する有力企業
    確立された製品を有する市場リーダー
    経営層(CXO)の見解
    最新動向および技術的ブレークスルー
    ケーススタディ/進行中の研究
    規制および償還制度の動向
    ポーターの5フォース分析
    サプライチェーン分析
    特許分析
    SWOT分析
    アンメットニーズおよび市場ギャップ
    市場参入・事業拡大に向けた推奨戦略
    シナリオ分析:楽観・基本・悲観ケース予測
    価格分析および価格動向
    キーオピニオンリーダー(KOL)
  5. 日本の局所進行膵がん市場 — 治療法別
    はじめに
    治療法別市場規模分析および前年比成長率分析(%)
    治療法別市場魅力度指数
    化学療法*
    はじめに
    市場規模分析および前年比成長率分析(%)
    FOLFIRINOX
    ゲムシタビン
    nab-パクリタキセル
    シスプラチン
    その他
    外科手術
    膵頭十二指腸切除術(Whipple手術)
    膵体尾部切除術
    膵全摘術
    放射線療法
    分子標的療法
    ラロトレクチニブ
    エヌトレクチニブ
    免疫療法
  6. 日本の局所進行膵がん市場 — エンドユーザー別
    はじめに
    エンドユーザー別市場規模分析および前年比成長率分析(%)
    エンドユーザー別市場魅力度指数
    病院*
    はじめに
    市場規模分析および前年比成長率分析(%)
    専門クリニック
    研究機関
  7. 競争環境および市場ポジショニング
    競争環境の概要および主要市場プレイヤー
    市場シェア分析およびポジショニング・マトリクス
    戦略的提携、M&A(合併・買収)
    製品ポートフォリオおよびイノベーションに関する主な動向
    企業ベンチマーキング
  8. 企業プロファイル
    8.1 Bristol-Myers Squibb Company
    企業概要
    製品ポートフォリオ
    製品概要
    製品主要業績評価指標(KPI)
    製品売上高の実績および予測
    製品販売数量
    財務概要
    企業売上高
    地域別売上構成比
    売上高予測
    主な動向
    M&A(合併・買収)
    主な製品開発活動
    規制当局による承認など
    SWOT分析
    8.2 その他の主要企業
    Pfizer Inc.
    Merck & Co., Inc.
    Fresenius Kabi AG
    Teva Pharmaceutical Industries Ltd.
    F. Hoffmann-La Roche Ltd.*
    Sun Pharmaceutical Industries Ltd.
    Merus N.V.
    CHEPLAPHARM Arzneimittel GmbH
    Bayer AG
    Eli Lilly and Company
    MITSUBISHI HEAVY INDUSTRIES, LTD.

※企業一覧は網羅的なものではありません。

  1. 前提条件および調査方法
    データ収集方法
    データ・トライアンギュレーション
    予測手法
    データの検証および妥当性確認
  2. 付録
    当社およびサービスについて
    お問い合わせ

■当英文調査レポートに関するお問い合わせ・お申込みはこちら
https://www.marketresearch.co.jp/contacts/

■株式会社マーケットリサーチセンターについて
https://www.marketresearch.co.jp
主な事業内容:市場調査レポ-トの作成・販売、市場調査サ-ビス提供
本社住所:〒105-0004東京都港区新橋1-18-21
TEL:03-6161-6097、FAX:03-6869-4797
マ-ケティング担当、marketing@marketresearch.co.jp