世界の再発/転移性頭頸部がんの市場規模、疾患概要、疫学予測:2026年調査レポートを発表

2026-09-05 11:30
株式会社マーケットリサーチセンター

株式会社マーケットリサーチセンター(本社:東京都港区、世界の市場調査資料販売)では、「世界の再発/転移性頭頸部がんの市場規模、疾患概要、疫学予測、英文タイトル:Recurrent or Metastatic Head and Neck Cancer Market Size; Disease Overview; Epidemiology Forecast; Patient Pool Analysis」調査資料を発表しました。本資料には、市場規模、疾患概要、疫学予測、患者数分析(日本、米国、ヨーロッパ、インドなど)、治療上の課題・アンメットニーズなどの情報などが盛り込まれています。

■主な掲載内容

本レポートは、再発または転移性頭頸部がん(Recurrent or Metastatic Head and Neck Cancer)の疫学動向について、過去の患者推移と2026~2035年の将来予測を整理した市場調査レポートである。頭頸部がんは、口腔、咽頭、喉頭などを原発とする悪性腫瘍の総称であり、その中でも初回治療後に再発した症例や遠隔臓器へ転移した症例は予後不良で、治療難度の高い集団を形成する。2022年には世界で約94万例の新規頭頸部がんが発生し、約48万人が死亡したとされ、Liらの2025年の報告では世界で7番目に多いがんとして位置づけられている。調査会社は、再発・転移例の疾患負担が依然として大きく、今後は早期発見、喫煙・飲酒などの危険因子低減、HPV関連疾患への対応、分子プロファイリング、免疫療法・標的治療の進歩が重要になるとみている。本調査では2025年を基準年、2019~2025年を過去分析期間、2026~2035年を予測期間とし、米国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国、日本、インドの8主要市場を対象に、有病・発症状況、年齢、性別、病型、診断患者数などを分析している。

再発頭頸部がんとは、手術、放射線療法、化学療法などの初回治療によっていったん腫瘍が制御された後に、原発部位や周辺リンパ節などで再び腫瘍が出現した状態を指す。一方、転移性頭頸部がんは、原発部位からがん細胞が離れ、肺、骨、肝臓などの遠隔臓器へ広がった状態を意味する。両者はしばしば同じ「再発・転移性頭頸部がん」として治療市場上まとめて扱われるが、局所再発と遠隔転移では治療可能性や予後が異なる。

頭頸部がんの多くは扁平上皮がんであり、頭頸部扁平上皮がん(Head and Neck Squamous Cell Carcinoma:HNSCC)が疫学の中心となる。主な原発部位は口腔、咽頭、喉頭などであり、原発部位によって危険因子や生物学的特徴、HPVとの関連、治療戦略が異なる。

主要なリスク因子は、たばこ使用、飲酒、HPV感染である。地域によってはビンロウ・アレカナッツの使用も重要で、Liらの2025年の報告では、男性で頭頸部がんが多い背景として、男性における喫煙、飲酒、アレカナッツ使用率の高さが挙げられている。

HPV感染は特に一部の咽頭がんで重要な要因となる。したがって、現在の頭頸部がんはすべてを同一の生活習慣関連がんとして扱うのではなく、HPV関連群と非HPV関連群を分けて考える必要がある。

症状としては、持続する疼痛、嚥下困難、体重減少などがみられる。病変部位によっては嗄声、口腔内潰瘍、頸部腫瘤などが出現することもある。進行病期まで症状が見逃されると、局所浸潤や遠隔転移が進み、治癒を目指す治療が難しくなる。

疫学的には、Liらの2025年のGLOBOCAN 2022解析で、頭頸部がん全体として世界で約94万例の新規症例、約48万人の死亡が報告されている。これらは再発・転移例だけではなく、すべての病期の頭頸部がんを含む数字である。

したがって、「94万例」をそのまま再発・転移性頭頸部がん患者数と解釈することはできない。再発・転移性市場を推定するには、新規頭頸部がん患者のうち診断時に遠隔転移を有する割合と、局所・局所進行例が治療後に再発する割合を別々に考える必要がある。

年齢では中高年層に患者が集中する。Barsoukらの2023年の報告では、米国におけるHNSCC診断年齢中央値は64歳で、患者の約半数が55~74歳で診断されている。したがって、高齢化は将来的な患者数を押し上げる重要な要因になる。

一方、HPV関連頭頸部がんなどでは、従来の喫煙・飲酒関連がんとは異なる年齢・患者背景を持つ可能性があるため、単純な高齢化だけで患者構成を説明できるわけではない。

性別では男性に多い。世界的に男性の頭頸部がん発症率が女性を上回り、その差には喫煙、飲酒、アレカナッツなどの曝露差が大きく関与するとされる。したがって、8主要市場でも男性患者が市場の中心を占める可能性が高い。

米国の人種・民族別データでも差がみられる。Barsoukらの2023年の報告では、男性HNSCCの発症率は非ヒスパニック系白人で10万人あたり20.1例、アメリカ先住民・アラスカ先住民で17.5例、アジア・太平洋諸島系で12.0例、ヒスパニック系で10.3例とされる。

この差は、喫煙・飲酒などの危険因子分布、HPV曝露、社会経済的要因、医療アクセスなどの複合的影響を受けている可能性がある。したがって、人種・民族別の患者数を解釈する際には、生物学的差だけでなく環境・医療制度要因も考慮する必要がある。

診断時にすでに遠隔転移している患者も一定数存在する。Barsoukらの2023年の報告では、米国HNSCC症例の約15%が診断時に遠隔転移を伴うステージIVCであった。

この15%は、再発患者を含まない「初診時転移例」の割合である。実際の再発・転移性患者プールには、初診時ステージIVCの患者に加えて、局所・局所進行病期で診断され治療後に再発する患者も加わるため、市場規模はこれより大きい。

予後は病期によって大きく異なる。Barsoukらによると、局所限局病変の5年生存率は86.6%であるのに対し、遠隔転移を伴う場合は39.3%まで低下する。

したがって、転移の有無は頭頸部がんの予後を大きく左右する。ただし、39.3%という数字は特定の米国データに基づくものであり、すべての再発・転移性HNSCC患者に一律に適用できるわけではない。原発部位、HPV状態、治療内容、患者全身状態などによって予後は大きく変わる。

米国では、Barsoukらの2023年の報告で、2022年の新規頭頸部がんが約54,000例とされる。ここでもこの数字は全病期を含む頭頸部がん全体であり、その一部が診断時転移例、さらに一部が将来再発例となる。

米国では、再発・転移期に進行した患者の治療選択肢が免疫療法の導入によって大きく変化してきたため、単なる患者数だけでなく、治療可能患者の構成も変化している。

ドイツでは、Vahlらの2023年の解析で212,920例という大規模データが扱われ、高齢化する患者集団や地域別の生存率格差が報告されている。これはドイツ国内でも頭頸部がん負担が一様ではないことを示している。

ただし、この212,920例も再発・転移例だけの患者数ではなく、より広い頭頸部がん患者集団を反映していると考えるべきである。再発・転移性患者数を評価するには追加の病期・再発情報が必要となる。

フランス、イタリア、スペイン、英国、日本、インドについては、提示資料では具体的な再発・転移患者数が示されていない。ただし、各国で喫煙、飲酒、HPV、人口高齢化などの要因が患者数に影響する。

特にインドでは、喫煙だけでなく各種無煙たばこやアレカナッツなどの使用が頭頸部がん負担に関与する可能性があり、欧米とはリスク因子構成が異なる。したがって、同じ治療市場でも地域別に患者背景が大きく異なる可能性がある。

日本では、高齢化に加え、口腔・咽頭・喉頭がんの診断と治療の高度化によって、再発後も複数ラインの治療を受ける患者が増える可能性がある。治療後長期生存が増えれば、その分、再発時に再び治療対象となる患者プールが蓄積することも考えられる。

市場・疫学上で重要なのは、「頭頸部がん全体の新規症例数」と「再発・転移性患者数」を区別することである。世界94万例、米国5万4,000例などは頭頸部がん全体の新規診断数であり、再発・転移患者数そのものではない。

また、診断時ステージIVC約15%というデータも再発例を含まないため、再発・転移性市場全体を評価するには不十分である。実際には初期・局所進行例の治療後再発率を加味する必要がある。

再発・転移性頭頸部がんの予防という観点では、まず一次予防が重要である。禁煙、過度の飲酒抑制、HPV感染予防などによって、新規頭頸部がん発症そのものを減らすことができれば、将来的な再発・転移患者数も減らせる。

次に早期診断が重要である。局所段階で発見できれば、遠隔転移病期より5年生存率が大幅に高いため、症状の早期認識と耳鼻咽喉科・歯科・口腔外科などでの適切な診断が予後改善につながる。

治療では、再発病変の部位、過去の治療歴、遠隔転移の有無、患者の全身状態などによって戦略が異なる。局所再発で外科的切除が可能な場合には、救済手術が検討されることがある。

放射線療法も重要である。過去に照射を受けていない部位や、選択された再発病変では局所制御を目的として使用される。また、疼痛や出血などの症状緩和にも用いられる。

化学療法は、切除不能・転移性疾患に対する全身治療として使用される。再発・転移性HNSCCでは、従来からプラチナ製剤などを含む治療が用いられてきた。

近年、免疫チェックポイント阻害薬が再発・転移性頭頸部がん治療を大きく変化させている。資料では特にペムブロリズマブが挙げられており、進行例で生存期間改善をもたらす治療選択肢として位置づけられている。

免疫療法の導入によって、再発・転移性頭頸部がんでは患者ごとのバイオマーカー評価がより重要になっている。すべての患者が同じように反応するわけではないため、腫瘍の分子・免疫学的特徴を利用した患者層別化が治療選択に影響する。

標的治療も治療体系の一部である。分子プロファイリングの進歩によって、腫瘍の遺伝的・分子的特性を把握し、適切な標的を持つ患者を治療へつなげる精密腫瘍学的アプローチが拡大している。

このため、2026~2035年の市場では、単なる化学療法患者数だけでなく、免疫療法適格患者、特定バイオマーカー陽性患者、臨床試験対象患者など、細分化された治療セグメントが重要になると考えられる。

緩和医療も非常に重要である。再発・転移性頭頸部がんでは、疼痛、嚥下困難、栄養障害、呼吸・発声機能障害など、生活の質を大きく損なう症状が生じる。そのため、抗腫瘍治療だけでなく、症状緩和とQOL維持が治療の主要目的となる。

特に嚥下障害や体重減少は栄養状態悪化につながるため、栄養支援が必要になることがある。また、腫瘍部位によっては会話や呼吸に影響するため、リハビリテーションや支持療法の負担も大きい。

治療方針は腫瘍部位、分子マーカー、これまでの治療歴、臓器機能、全身状態などを総合して決定される。したがって、再発・転移性頭頸部がんは単一レジメンで管理できる疾患ではなく、個別化された集学的治療が必要となる。

臨床試験も重要な治療機会となる。予後不良で標準治療後の選択肢が限られる患者では、新規免疫療法、標的薬、併用療法などを評価する試験への参加が重要になる。

市場の観点では、再発・転移性頭頸部がんは患者数だけでなく、一人当たりの治療負担が大きい。免疫療法、標的治療、化学療法、放射線、支持療法を長期間組み合わせる可能性があるため、専門的ながん医療資源需要が大きい。

また、頭頸部がん治療の進歩によって初回治療後に長期間生存する患者が増えれば、将来的に再発して二次治療を必要とする患者も一定数蓄積する。このため、新規発症率だけでは再発・転移市場の将来規模を説明できない。

全体として本レポートは、再発・転移性頭頸部がんを「世界で年間約94万例の新規症例と約48万人の死亡を生じる頭頸部がんの中でも、初回治療後に再発するか、遠隔転移を伴うことで予後が大幅に悪化する高リスク患者群」と位置づけている。

年齢では診断中央値が約64歳で、患者の約半数が55~74歳に集中する。性別では男性優位が明確であり、喫煙、飲酒、アレカナッツなどの危険因子曝露が性差に関与している。

米国では2022年に約54,000例の新規頭頸部がんが報告され、HNSCCの約15%が診断時にすでに遠隔転移を有していた。5年生存率は局所病変で86.6%である一方、転移病変では39.3%まで低下しており、転移の有無が予後に大きな影響を与える。

一方で、世界94万例、米国54,000例、ドイツ212,920例などの数値は、いずれも必ずしも再発・転移性患者だけを意味しない。本レポートには頭頸部がん全体の疫学データと再発・転移性サブグループのデータが混在しているため、市場規模を評価する際には対象集団を区別する必要がある。

2026~2035年の疫学・市場動向を考えるうえでは、高齢化、喫煙・飲酒などのリスク因子、HPV関連疾患の動向、診断時病期などが患者数を左右する。一方、禁煙やHPV予防、早期発見によって進行病期で診断される患者を減らせる可能性もある。

さらに、免疫チェックポイント阻害薬や分子標的治療の普及によって、これまで短期間で病勢進行していた患者の生存期間が延長すれば、治療中の再発・転移性患者プールが増加する可能性がある。したがって、治療進歩は死亡負担を減らす一方、長期治療を必要とする有病患者数を増やす方向にも作用し得る。

今後の再発・転移性頭頸部がん管理における中心的課題は、喫煙・飲酒・HPVなどの危険因子を減らすこと、局所段階での早期発見率を高めること、再発時には局所治療が可能かを迅速に評価すること、切除不能・転移例では化学療法、免疫療法、標的治療を腫瘍特性に応じて使い分けること、そして疼痛、嚥下障害、栄養障害などに対する緩和・支持療法を早期から組み込むことである。2026~2035年は、再発・転移性頭頸部がんを単なる終末期疾患として扱うのではなく、分子プロファイリングや免疫学的バイオマーカーに基づく個別化治療によって長期生存とQOL改善を目指すことが、臨床・市場双方の主要テーマになるとまとめられる。

※目次構成

01
序文
1.1 はじめに
1.2 調査目的
1.3 調査方法および前提条件

02
エグゼクティブサマリー

03
再発または転移性頭頸部がん市場概要(8主要市場)
3.1 再発または転移性頭頸部がん市場の過去市場規模(2019年~2025年)
3.2 再発または転移性頭頸部がん市場の予測市場規模(2026年~2035年)

04
再発または転移性頭頸部がん疫学概要(8主要市場)
4.1 再発または転移性頭頸部がん疫学状況(2019年~2025年)
4.2 再発または転移性頭頸部がん疫学予測(2026年~2035年)

05
疾患概要
5.1 症状および徴候
5.2 原因
5.3 リスク要因
5.4 ガイドラインおよび病期分類
5.5 病態生理
5.6 スクリーニングおよび診断
5.7 再発または転移性頭頸部がんの種類

06
患者プロファイル
6.1 患者プロファイル概要
6.2 患者心理および感情面への影響要因

07
疫学状況および予測(8主要市場:2019年~2035年)
7.1 主要調査結果
7.2 前提条件および根拠
7.3 再発または転移性頭頸部がんの診断済み有病患者数
7.4 種類別の再発または転移性頭頸部がん患者数
7.5 性別別の再発または転移性頭頸部がん患者数
7.6 年齢別の再発または転移性頭頸部がん患者数

08
疫学状況および予測:米国(2019年~2035年)
8.1 米国における前提条件および根拠
8.2 米国における再発または転移性頭頸部がんの診断済み有病患者数
8.3 米国における種類別の再発または転移性頭頸部がん患者数
8.4 米国における性別別の再発または転移性頭頸部がん患者数
8.5 米国における年齢別の再発または転移性頭頸部がん患者数

09
疫学状況および予測:英国(2019年~2035年)
9.1 英国における前提条件および根拠
9.2 英国における再発または転移性頭頸部がんの診断済み有病患者数
9.3 英国における種類別の再発または転移性頭頸部がん患者数
9.4 英国における性別別の再発または転移性頭頸部がん患者数
9.5 英国における年齢別の再発または転移性頭頸部がん患者数

10
疫学状況および予測:ドイツ(2019年~2035年)
10.1 ドイツにおける前提条件および根拠
10.2 ドイツにおける再発または転移性頭頸部がんの診断済み有病患者数
10.3 ドイツにおける種類別の再発または転移性頭頸部がん患者数
10.4 ドイツにおける性別別の再発または転移性頭頸部がん患者数
10.5 ドイツにおける年齢別の再発または転移性頭頸部がん患者数

11
疫学状況および予測:フランス(2019年~2035年)
11.1 フランスにおける前提条件および根拠
11.2 フランスにおける再発または転移性頭頸部がんの診断済み有病患者数
11.3 フランスにおける種類別の再発または転移性頭頸部がん患者数
11.4 フランスにおける性別別の再発または転移性頭頸部がん患者数
11.5 フランスにおける年齢別の再発または転移性頭頸部がん患者数

12
疫学状況および予測:イタリア(2019年~2035年)
12.1 イタリアにおける前提条件および根拠
12.2 イタリアにおける再発または転移性頭頸部がんの診断済み有病患者数
12.3 イタリアにおける種類別の再発または転移性頭頸部がん患者数
12.4 イタリアにおける性別別の再発または転移性頭頸部がん患者数
12.5 イタリアにおける年齢別の再発または転移性頭頸部がん患者数

13
疫学状況および予測:スペイン(2019年~2035年)
13.1 スペインにおける前提条件および根拠
13.2 スペインにおける再発または転移性頭頸部がんの診断済み有病患者数
13.3 スペインにおける種類別の再発または転移性頭頸部がん患者数
13.4 スペインにおける性別別の再発または転移性頭頸部がん患者数
13.5 スペインにおける年齢別の再発または転移性頭頸部がん患者数

14
疫学状況および予測:日本(2019年~2035年)
14.1 日本における前提条件および根拠
14.2 日本における再発または転移性頭頸部がんの診断済み有病患者数
14.3 日本における種類別の再発または転移性頭頸部がん患者数
14.4 日本における性別別の再発または転移性頭頸部がん患者数
14.5 日本における年齢別の再発または転移性頭頸部がん患者数

15
疫学状況および予測:インド(2019年~2035年)
15.1 インドにおける前提条件および根拠
15.2 インドにおける再発または転移性頭頸部がんの診断済み有病患者数
15.3 インドにおける種類別の再発または転移性頭頸部がん患者数
15.4 インドにおける性別別の再発または転移性頭頸部がん患者数
15.5 インドにおける年齢別の再発または転移性頭頸部がん患者数

16
患者経路

17
治療課題および未充足ニーズ

18
キーオピニオンリーダー(KOL)による洞察

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