子どもの「五月病」ってあるの?
〜新生活のストレスから守るために、家庭でできること〜
新学期が始まり1か月ほど経つ5月頃、「なんとなく元気がない」「朝になるとお腹が痛いと言う」など、お子さんの変化に気づくことはありませんか?
いわゆる「五月病」は大人のものと思われがちですが、実は子どもにも似た状態が起こることが知られています。
今回は、子どもの五月病について、家庭でできる対策と受診の目安を解説します。
子どもでも五月病になるの?
「五月病」は正式な病名ではなく、新しい環境によるストレスで心や体に不調が出る状態を指します。医学的には「適応障害」などの状態に相当することが多くあります。
特に子どもでは、以下のような環境変化が引き金になります。
・入園・入学・進級
・クラス替えや担任変更
・習い事の開始
・友人関係の変化
これらは一見前向きな出来事ですが、子どもにとっては大きなストレスです。実際、海外の研究でも、生活環境の大きな変化は子どものストレス反応や情緒不安定と関連することが報告されています。
どんな子がなりやすい?
以下のようなお子さんは、環境の変化による影響を受けやすい傾向があります。
・まじめでがんばり屋
・環境の変化が苦手
・感覚が敏感(音・におい・人混みなど)
・自分の気持ちを言葉にするのが苦手
特に「いい子」でがんばりすぎるタイプや、HSC(Highly Sensitive Child:人一倍敏感な子ども)と呼ばれる感覚が敏感なお子さんは、表面上は問題なく見えても、内側でストレスが蓄積していることがあります。
注意したいサイン
以下のような変化が続く場合は注意が必要です。これらは「怠け」ではなく、ストレスに対する正常な反応であることが多いです。
【体のサイン】
・朝になると腹痛・頭痛を訴える
・食欲が落ちる
・眠れない、または寝すぎる
【行動の変化】
・登園・登校を嫌がる
・急に甘えが強くなる
・イライラ・かんしゃくが増える
【心のサイン】
・元気がない
・好きだったことを楽しめない
・「行きたくない」「疲れた」とよく言う
家庭でできる対策
①気持ちを受け止める
「ちゃんと行けてえらいね」よりも「しんどかったね」「よく教えてくれたね」と声をかけましょう。子どもの感情を否定せずに受け止める関わり(感情コーチング)は、子どもの安心感を高め、感情をコントロールする力を育てます。
②生活リズムを整える
・起床・就寝時間を一定にする
・朝ごはんをしっかりとる
・就寝前のスマートフォンやゲーム(スクリーン時間)を控える
睡眠不足や生活リズムの乱れは、子どもの不安や抑うつなどのメンタルヘルスに悪影響を及ぼすことが科学的に証明されています。
③休むという選択肢を持つ
どうしてもつらい日は、無理に登校させるのではなく、一時的に休むことも回復のために有効です。無理に頑張らせ続けると、心身の不調が悪化し、かえって長期的な不登校や不安障害につながるリスクがあります。
④親自身が安心できる存在でいる
子どもは親の不安を敏感に感じ取ります。親の強い不安が子どもに伝播(伝染)することが多くの研究で確認されています。「大丈夫かな?」と過度に心配するより、「何かあっても一緒に考えよう」と、どっしり構える姿勢が大切です。
医療機関に相談したほうがいいケース
以下の場合は、早めに専門家への相談を検討してください。
・2週間以上症状が続く
・学校に全く行けない状態が続く
・食事・睡眠に大きな影響がある
・日常生活に支障が出ている
まずはかかりつけの小児科で相談し、身体的な病気が隠れていないかを確認しましょう。初期対応は小児科でも十分可能であり、必要に応じて専門機関につなぐことができます。
子どもの五月病は、新しい環境に一生懸命適応しようとしている証拠でもあります。
大切なのは、無理に元に戻そうとしないこと、子どものペースを尊重すること、そして安心できる環境を整えることです。適切に関わることで、多くの子どもは自然に回復していきます。
その子なりのペースで大丈夫です。ひとりで抱え込まず、困ったときは周りや専門家の力を借りながら、親子で一緒に乗り越えていきましょう。
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