「家族や会社にばらす」は脅迫罪になる?パパ活・不倫・交際トラブルで暴露すると言われた場合の対処法を弁護士が解説
「返金しなければ会社に連絡する」
「家族に全部話す」
「勤務先にパパ活していたことを伝える」
パパ活や交際トラブルでは、このような言葉で相手から迫られるケースがあります。
また、不倫関係や元恋人との別れ話でも、相手が怒りや執着から暴露をほのめかすことがあります。
しかし、相手に知られたくない事情があるからといって、要求されるまま金銭を支払ったり、関係を続けたりする必要があるとは限りません。
この記事では、「会社にばらす」と言われた場合にどのような犯罪が成立し得るのかを整理したうえで、元恋人・不倫相手パパ活相手、水商売キャストと客 、マッチングアプリのケースでの対処法を、弁護士の視点から解説します。
本記事の要点
・「会社にばらす」「家族に言う」という発言は、状況によって脅迫罪にあたる可能性があります。
・「ばらされたくなければ金を払え」という要求は、恐喝罪が問題になることがあります。
・不倫やパパ活など、自分にも事情がある場合でも、暴露を利用した不当な要求が許されるわけではありません。
・LINEやDM、録音などは相手の要求を証明する重要な証拠になります。
・相手へ直接対応する前に、弁護士へ相談することで被害拡大を防げる場合があります。
交際・不倫トラブルで「会社にばらす」が使われる実情
「会社にばらす」「家族に言う」という発言は、不倫や交際トラブルだけでなく、パパ活やマッチングアプリをきっかけとしたトラブルでも見られます。
相手が勤務先や家族などの個人情報を把握している場合、それを利用して精神的な圧力をかけ、金銭を要求したり、関係継続を迫ったりするケースがあります。
典型的なパターンとしては、次のようなものがあります。
別れたくない相手が「別れるなら会社にばらす」と言って、関係を続けさせようとする。
関係を解消された腹いせに「手切れ金を払わなければ職場に言う」と金銭を求める。
不倫相手が「離婚しないなら配偶者や会社に不倫をばらす」と迫る。
こうした圧力を受けた側は、「不倫という負い目があるから」「知られたら終わりだから」と一人で抱え込み、口止め料を払い続けてしまうことがあります。しかし、一度応じると要求はエスカレートしやすく、支払いが被害の終わりにはならないのが実情です。
パパ活で「会社にばらす」と言われるケース
パパ活では、男性側が女性の勤務先や学校、家族構成などを知っている場合があります。
関係終了後、
「今まで渡したお金を返せ」
「返さないなら会社に連絡する」
「家族にパパ活していたことを話す」
といった要求を受けるケースがあります。
しかし、金銭を渡した事実があるとしても、暴露を利用して相手を追い込む行為が当然に認められるわけではありません。
「会社にばらす」と言われたら成立し得る犯罪
「会社にばらす」という圧力は、言い方や、それに伴う要求の内容によって、成立する犯罪が変わります。ここが最も重要なポイントです。順に整理します。
「会社にばらす」という告知そのもの → 脅迫罪の可能性
脅迫罪は、相手の生命・身体・自由・名誉・財産に対して害を加えると告知し、相手を畏怖させる犯罪です(刑法222条、2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金。2025年6月の刑法改正により「懲役」は「拘禁刑」に一本化されました)。
「会社にばらす」という発言があっただけで、必ず脅迫罪が成立するわけではありません。
判断のポイントは、
・相手を怖がらせる目的があるか
・何らかの要求と結びついているか
・社会生活上の不利益を与える内容か
という点です。
例えば、
「金を払わなければ会社へ連絡する」
「別れるなら職場に言う」
といった発言は、状況によって脅迫罪や恐喝罪の問題になります。
「会社にばらされたくなければ払え」は恐喝になる可能性
暴露をちらつかせて金銭を要求し、実際に支払わせた場合は、恐喝罪(刑法249条、10年以下の拘禁刑)が成立し得ます。支払わせるに至らなくても、恐喝未遂罪が成立し得ます。
特に男女トラブルでは、
「口止め料」
「慰謝料」
「迷惑料」
など、名目を変えて金銭を要求されるケースがあります。
しかし、暴露を利用して相手を怖がらせ、金銭を支払わせようとする行為は、適法な請求とは区別して考える必要があります。
注意すべきは、不倫の被害を受けた配偶者による慰謝料請求それ自体は、正当な権利だという点です。しかし、たとえ慰謝料を請求する権利がある場合でも、「会社にばらす」といった手段で相手を怖がらせて相場を超える金銭を支払わせれば、適法な権利行使の範囲を超え、恐喝罪の問題になり得ます。権利があることと、その通し方が適法であることは、別の問題なのです。
「別れるな」「辞表を書け」と強制する → 強要罪の可能性
暴露をちらつかせて、相手に義務のないことを強制したり、正当な権利の行使を妨げたりした場合は、強要罪(刑法223条、3年以下の拘禁刑)が問題になります。婚約や内縁でない交際は、本来いつでも自由に解消できます。したがって、「別れるなら会社にばらす」と言って関係を続けさせる行為は、別れる自由という権利の行使を妨げるものとして、強要罪にあたり得ます。「会社を辞めろ」と退職届を書かせる、「土下座しろ」と強いるといった行為も同様です。
ケース別の注意点
元恋人(交際相手)から言われた場合
不倫を伴わない通常の交際でも、「付き合っていたことを会社にばらす」という圧力は、名誉への害悪の告知として脅迫罪にあたり得ます。復縁を迫れば強要罪、金銭を求めれば恐喝罪の問題です。さらに、交際中に撮影した性的な画像で「ばらまく」と脅す場合には、リベンジポルノ防止法違反など別の犯罪も成立し得ます。
不倫相手から言われた場合
不倫関係の解消でこの種の脅しを受けたときは、自分自身の立場も整理しておく必要があります。不倫の当事者同士は、原則として別れをめぐって互いに慰謝料を請求する権利はありません。したがって、不倫相手本人から「別れるなら慰謝料を払え、払わなければ会社にばらす」と言われても、当然に応じる義務はなく、暴露を手段とした要求は恐喝の問題になり得ます。
一方で、不倫によって被害を受けた相手の配偶者に対しては、慰謝料を支払う義務が残ることがあります。この二つは切り分けて考える必要があり、「正当な慰謝料は適正額で清算しつつ、暴露をダシにした過大な要求は拒否する」という対応が基本になります。
SNSや性的画像を「ばらす」と言われた場合
「会社に言う」だけではなく、
・SNSで名前を公開する
・性的画像を送る
・LINE内容を晒す
といった発言も問題になります。
内容によっては、
・脅迫罪
・名誉毀損罪
・リベンジポルノ防止法違反
が成立する可能性があります。
「会社にばらす」と脅されたときの対処法
1. その場で払わない・約束しない
恐怖から、その場で金銭を支払ったり、要求に応じると約束したりしないでください。前述のとおり、一度応じても要求は止まりにくく、支払いが解決にはつながりません。
2. 証拠を残す
「ばらすぞ」という発言と、それに伴う金銭要求や強制の内容は、脅迫罪・恐喝罪・強要罪を立証する重要な証拠になります。LINEやメールのやり取り、通話の録音、日時のメモなどを、削除せずに保全してください。「暴露をちらつかせて〇〇を要求された」という構造がわかる形で残すことが大切です。
3. 相手を直接刺激しない
「それは脅迫罪だ」と面と向かって指摘したり、感情的に言い返したりすると、かえって相手を逆上させ、実際に暴露へ踏み切らせてしまうおそれがあります。直接の対決や自力での解決は避けてください。
4. 弁護士を窓口にする
弁護士が代理人として間に入れば、相手と直接やり取りする必要がなくなり、それ自体が抑止力になります。以後の連絡をすべて弁護士が引き受け、不当な要求は法的根拠を示して退けたうえで、「二度と接触しない」「不倫や交際の事実を口外しない」といった約束を盛り込んだ合意書(清算条項・接触禁止条項・口外禁止条項付き)を作成することもできます。恐喝や強要にあたる場合には、刑事告訴を視野に入れた対応も可能です。会社や家族に知られたくないという事情がある方こそ、内密に動ける弁護士への相談が有効です。
5. 危険を感じたら警察へ
身の危険を感じる場合は、迷わず110番を。緊急でなくても、警察相談専用電話「#9110」で相談できます。証拠がそろっていれば、警察も動きやすくなります。
若井綜合法律事務所からのご案内
「会社にばらす」という圧力は、言い方や要求次第で、脅迫罪・恐喝罪・強要罪といった犯罪になり得ます。負い目があると感じていても、暴露を手段にした不当な要求に応じ続ける必要はありません。
「自分にも非があるから相談できない」
「会社や家族に知られるのが怖い」
そう考えて一人で抱え込んでしまう方も少なくありません。
しかし、交際関係や不倫関係に問題があったとしても、相手から脅迫や恐喝を受けることとは別の問題です。
当事務所では、男女トラブルに伴う脅迫・恐喝・暴露要求について、相手方との交渉から刑事対応まで幅広く対応しています。
全国どこからでもご利用いただける無料相談を、メール・電話・LINEで年中無休・24時間受け付けております。まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
若井 亮(わかい りょう)/代表弁護士 弁護士法人若井綜合法律事務所 東京弁護士会所属(登録番号:47827)
事務所全体で年間1,500件以上の男女トラブル相談を受けており、恐喝・脅迫被害、不倫慰謝料、DV・ストーカー被害など、他人に相談しづらい問題を穏便かつ内密に解決することを得意とする。相手の脅迫的な言動にも毅然と対応し、依頼者の平穏な生活を取り戻すために尽力している。 メディア掲載:フジテレビ「とくダネ」/ダイヤモンド・オンライン/@DIME/サイゾー ほか
お問い合わせ先
弁護士法人若井綜合法律事務所
https://wakailaw.com/
TEL: 03-5924-6845
当事務所は、恐喝・脅迫被害をはじめとする男女間のトラブルを数多く取り扱ってまいりました(男女トラブルのご相談は類型23,000件以上お受けしてまいりました)。「家族や勤務先に影響が及ばないように」という点に最大限配慮しながら、内密かつ穏便な解決を最優先に対応いたします。すでに個人情報を知られてしまっている場合や、要求がエスカレートしている場合も、状況に応じて被害の拡大を防ぐ手立てがあります。
全国どこからでもご利用いただける無料相談を、メール・電話・LINEで24時間受け付けております。まずはお気軽にご相談ください。相談する勇気が、解決へとつながります。