外来診療の質は「検査機器」ではなく「診療フロー」で決まる

──富士フイルム メディカルトレンドセミナーでお伝えした、ファストトラックフローという考え方

「迅速検査を導入したのに、外来は変わらない」

近年、多くの医療機関で迅速検査機器の導入が進み、診療のスピードは確実に向上しています。

しかし一方で、

・検査結果が診察に十分活かされない
・採血後の待ち時間が長い
・医師・看護師・受付の情報共有が属人的になっている
・タスクシフトが十分に機能していない

といった課題を感じている医療機関も少なくありません。

迅速検査機器は導入するだけでは診療の質を変えません。

診療フロー全体を再設計して初めて、その価値を最大限に発揮できます。

こうした考え方をまとめた内容を、このたび富士フイルム主催「メディカル トレンド セミナー Season4」にて、
「ドライケムが変えた外来診療 ~ファストトラックフローのデザインと展開~」
という演題で講演させていただき、2026年7月24日(金) ~ 2026年8月14日(金)の期間で、オンデマンド配信されています。

開業から取り組んできたテーマは「診療フローの設計」

当院は開業以来、

「**検査結果を診察前に揃える**」

という診療体制を一つの目標としてきました。

肝疾患、生活習慣病、脂肪肝診療では、生化学データをはじめとする客観的データが診療方針を左右します。

だからこそ、

・必要な検査をいつ実施するのか
・誰が判断するのか
・結果を誰が確認するのか
・いつ医師へ渡すのか

という一連の流れを、診療システムとして構築する必要があります。

私たちはこれを「ファストトラックフロー」と名付けました。

ファストトラックフローとは何か

ファストトラックフローとは、

「**診察前に必要な診療情報を集約するための外来設計**」

です。

単なる迅速検査ではありません。

受付から診察終了までを一つの診療プロセスとして設計し、

・受付
・医療事務
・看護師
・医師

がリアルタイムで連携することで、

「診察前に結果が揃う状態」を標準化しています。

この考え方により、

・待ち時間の短縮
・再診率の改善
・医療安全の向上
・説明時間の充実

につながる診療体制を目指しています。

ドライケムを活かすために必要なのは「チーム医療」

講演の中で最もお伝えしたかったことがあります。

それは、

**ドライケムは診療を変える"エンジン"であり、主役ではない**

ということです。

迅速検査が数分で終了しても、

その結果を診療へ結び付ける仕組みがなければ意味がありません。

当院では

・医療事務
・看護師
・医師

がワンチームとなり、
バックヤードを司令塔として情報を統合しています。

検査漏れの確認、優先順位の整理、診療状況の共有など、患者さんから見えない業務こそが、外来全体の品質を支えています。

タスクシフトを「制度」ではなく「運用」で実現する

近年、タスクシフト・タスクシェアが推進されています。

しかし、制度だけでは現場は変わりません。

重要なのは、

**誰が、どのタイミングで、何を判断できるのか**

をプロトコールとして明文化することです。

当院では、

・疾患ごとのセットオーダー
・看護師による採血フロー
・症状別プロトコール
・医師確認が必要な症例

を標準化し、迅速性と安全性の両立を図っています。

結果として、医師は診断と治療という本来の役割へ集中できる環境が生まれています。

DXの目的は「省人化」ではない

当院ではクリニックロボットも導入しています。

しかし、ロボット導入の目的は人件費削減ではありません。

目指しているのは、

「**人の価値を最大化するDX**」

です。

説明業務や患者誘導などをロボットが担うことで、

スタッフは患者対応や判断業務へ時間を使えるようになります。

DXは人を置き換えるものではなく、人がより医療へ集中するための環境づくりであると考えています。

外来改革は「教育」がなければ続かない

新しい診療フローは、一度作れば完成するものではありません。

当院では、

・採血項目の教育
・検査の意味の共有
・オーダーの根拠の可視化
・健康教室による患者教育

まで含めて診療設計と考えています。

スタッフ全員が「なぜこの検査が必要なのか」を理解することで、診療の質はさらに向上します。

セミナーでは実際の運用を公開しています

今回のセミナーでは、

・ファストトラックフロー構築までの経緯
・外来導線の設計方法
・ドライケムを中心とした迅速検査運用
・タスクシフトの実践例
・バックヤード業務の考え方
・チーム医療を支えるDX
・クリニックロボット活用事例

について、実際のクリニック運営をもとに詳しくご紹介しています。

「迅速検査をどう活かすか」ではなく、

「**迅速検査を活かせる外来をどう設計するか**」

という視点でお話ししています。

オンデマンド配信のご案内

富士フイルム主催 「メディカル トレンド セミナー Season4」 にて、

『ドライケムが変えた外来診療 ~ファストトラックフローのデザインと展開~』

をオンデマンド配信中です。

配信期間
2026年7月24日(金)10:00 ~ 2026年8月14日(金)20:00

申込締切
2026年8月14日(金)19:00(事前申込み制)

申込はこちら
https://bit.ly/4umgUtP

迅速検査の導入や外来効率化、タスクシフト、クリニックDX、チーム医療に関心のある医師・看護師・医療事務・クリニックマネージャーの皆さまにとって、日々の診療を見直すきっかけとなれば幸いです。

当院はこれからも、「患者さんにとって価値ある外来診療とは何か」を追求し、診療フローそのものを進化させる取り組みを続けてまいります。

講演者:

菊池 真大(きくち まさひろ)

用賀きくち内科 肝臓・内視鏡クリニック院長 / 医学博士

日本消化器病学会専門医、日本肝臓学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医。 1999年に慶應義塾大学を卒業後、米国ペンシルベニア大学消化器内科への留学を経て、国内の基幹病院で診療経験を重ね、2024年10月に「用賀きくち内科 肝臓・内視鏡クリニック」を開業。

肝臓専門医、内視鏡専門医、総合内科専門医として診療を行うとともに、日本医師会認定健康スポーツ医、そして2026年3月には健康運動指導士の資格を取得。

生活習慣病や未病の予防に対し、より医学的根拠(エビデンス)に基づいた運動療法を提案している。


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