【実家じまい】年末年始に実家で話したい重要事項5選|property technologies

年末年始、久しぶりに家族が揃う食卓。「元気そうで良かった」だけで終わらせず、親が元気で判断力もはっきりしている「今」だからこそ、話さなければならない重要なテーマがあります。それが「健康(介護)」「お金(資産)」、そして「実家(不動産)」の話です。特に「実家」は、私たちが目をそらしがちな最大の問題。放置すれば、管理コストだけがかかる「負動産」と化し、やがてはきょうだい(兄弟姉妹)間の「争続」の火種になりかねません。

「うちは仲が良いから大丈夫」という思い込みが、一番危険です。相続で揉める家庭の多くは、「まさか自分たちが」と思っていた普通の家庭なのです。 

なぜ、年末年始に話すべきか。それは、デリケートな話だからこそ、家族全員が顔を合わせて「対話」する必要があるからです。電話やメールでは、微妙なニュアンスや本心は伝わりません。

先送りは最大のリスクです。もし親が倒れ、判断能力を失ってしまったら、「あの時、聞いておけば」という後悔はあまりにも重いものになります。この帰省を、未来の安心に向けた第一歩とし、まずは「現状把握」と「親の意向確認」から始めましょう。

1. 実家(不動産)の今後をどうするか

5つのテーマの中で、最も優先度が高いのが「実家(不動産)」です。なぜなら、実家は家族の資産でありながら、物理的に分割しにくく、最も感情が絡む「争続」の火種だからです。

なぜ実家の話が最優先か

理由は3つあります。第一に「空き家問題」。親が施設に入ったり亡くなったりした後、放置された実家は急速に荒廃し、固定資産税だけがかかり続ける「負動産」となります。自治体から「特定空き家」に指定されれば、税金が最大6倍になるリスクもあります。第二に「維持管理コスト」。誰も住まなくても税金、保険料、修繕費は発生し続けます。第三に「争続リスク」。「売りたい人」「住みたい人」「残したい人」で意見が割れ、家族関係に修復不可能な亀裂が入りかねません。

親の意向と家の現状を確認する

まずは「親が、この先どう暮らしたいか」という意向を最優先に傾聴します。「いつまで今の家に住みたいか?」「介護が必要になったらどこで暮らしたいか?」。その上で、家の「現状」を把握します。家の名義は誰か、おおよその資産価値はどれくらいか、修繕は必要か、などです。

「実家じまい」の選択肢

現状把握ができたら、選択肢を検討します。「売却」して現金化し、公平に分けるのか。「賃貸」に出して家賃収入を得るのか。子や孫が「相続」して住み続けるのか。あるいは「空き家バンク」登録や「寄付」か。どの道を選ぶにせよ、親の意思と家の現状把握がスタートラインです。

併せて、「100秒deキャッチアップ!!知っておきたい「実家じまい(マンションじまい)のリアルな数字」もご覧ください。

2. 実家の話から派生する「4つの確認事項」

「実家の今後」という大きなパズルは、実家のことだけを考えても完成しません。それは親のライフプラン全体と繋がっています。実家の着地点を決めるために、以下の4つの情報が不可欠です。

① 延命治療・介護方針

「最期までどこで、どう暮らしたいか」は実家の扱いに直結します。「在宅介護」を望むなら、実家はバリアフリー化が必要かもしれません。「施設介護」を望むなら、その費用捻出のために実家を売却するシナリオも出てきます。その場合、実家は「空き家」になるため、管理・売却の計画が必要です。また、「延命治療を望むか」というリビング・ウィルの確認も、残される家族が重い決断を迫られないために重要です。

② 資産状況と遺言書の有無

実家を子が相続する場合、他のきょうだいに「代償金」を払う必要があるかもしれません。そのためには、実家以外の「資産状況(預貯金、有価証券など)」の全体像を把握し、資金計画を立てる必要があります。何より重要なのが「遺言書」の有無です。遺言書は「争続」を防ぐ最強のツール。特に「実家を誰に相続させるか」が明記されているかを確認し、遺言書がなければ作成を検討してもらうことが家族全員の安心に繋がります。

③ 相続税がかかるかの目安共有

「うちは裕福じゃないから無関係」は誤解です。都市部に土地付きの実家があるだけで、基礎控除額(3000万円 + (600万円 × 法定相続人の数))を超える可能性は十分にあります。もし資産のほとんどが不動産だと、納税資金(現金)が足りず、実家を売却せざるを得ない「相続税破産」に陥る危険も。目安を共有し、対策が必要かを見極めます。

④ お墓・仏壇の承継

「実家じまい」は、ご先祖様の問題とセットです。実家がなくなれば、仏壇の行き場所を決めなくてはなりません。また、お墓の管理を誰が引き継ぐのか。管理が難しい場合、「墓じまい」や「永代供養」も選択肢に入ります。これらも親の意向を確認しておくべき重要事項です。

3. 焦らない・説得しない・喧嘩しない。 「未来の話」の進め方

ここまで読んで、「話し合うべき内容はわかった。でも、それが一番難しいんだ」と感じている方が大半でしょう。 親戚が集まる和やかな雰囲気の中で、「実家じまい」や「相続」といった重い話をどう切り出すか。親のプライドを傷つけたり、「金目当てか」と勘ぐられたりせずに、冷静な対話を進めるにはどうすればよいのかー。

大前提となる「心構え」が3つあります。

「一回」で全てを決めようとしない

今回の帰省は、あくまで「スタート」です。ゴールは「結論を出す」ことではなく、「家族全員が同じテーブルにつき、現状を共有する」ことです。焦って質問攻めにし、親が心を閉ざしてしまっては元も子もありません。「今回は、まず実家の話だけ聞いてみよう」と、ハードルを下げることが成功の鍵です。

「傾聴」に徹し、「対話」を心がける

あなたは「聴取」に来た捜査官ではありません。相手はあなたの親です。親がこれまで歩んできた人生、家に対する想い、将来への不安。それらをまずは否定せず、遮らず、最後までじっくりと「聞く」姿勢(傾聴)が何よりも重要です。「正論」で説得しようとせず、親の気持ちに寄り添う「対話」を目指してください。

「きょうだい間」での事前調整は必須

最悪のパターンは、親の前できょうだい喧嘩が始まることです。帰省する前に、必ずきょうだい間(あるいは配偶者も含む関係者)で連絡を取り合い、「今回の帰省で、どこまで話すか」「誰がどう切り出すか」といった目線合わせを済ませておきましょう。親に対して「子どもたち全員の共通認識である」と示すことができれば、親も真剣に受け止めてくれやすくなります。

対話を始めたら、まずは「実家」の話(例:「この家も、地震とか大丈夫かな?」「修繕とか考えてる?」)といった、比較的日常に近いテーマから入るとスムーズです。そして、もし親が話し始めたら、その内容が「大事な話だから、忘れないようにメモしてもいい?」と許可を得て、記録に残しましょう。これにより、話の重要性が親にも伝わりますし、後の「言った、言わない」のトラブルを防ぐことにも繋がります。
話が専門的になったり、家族だけでは難しそうだと感じたりしたら、「今度、専門家(税理士やファイナンシャルプランナー、自治体の無料相談など)に、一緒に相談しに行ってみない?」と、第三者の力を借りる提案をするのも非常に有効です。

4. わたし(たち)の住まいに特化したエンディングノートの作成

親が元気で、判断力もはっきりしている「今」だからこそ、「わたし(たち)の住まいのエンディングノート」を作成してみましょう。通常のエンディングノートと異なり、不動産に特化した情報を整理するものです。不動産基本情報シート(所在地、面積、境界、権利関係、ローン状況、資産価値)、関連書類リスト(登記簿、固定資産税納付書、設計図面などの保管場所)、維持管理情報(管理会社、自治会、修繕履歴)などを記録します。特に『資産価値』の項目は最も重要な情報です。これにより、将来の相続がスムーズに進み、空き家発生リスクを低減できます。

さらに重要なことは、資産価値の定期的な更新です。公示価格やマンション価格は年々変動しており、特に最近は上昇傾向にあります。数年前に確認した価値では不十分で、定期的な見直しが必要です。「投資商品」ではなく「実需商品」だからこそ、正確な価値を把握しましょう。

資産価値を知るには、不動産仲介会社に査定を依頼するのが一般的な方法です。立地や条件によりますが、数日で市場流通価格の結果が得られます。
また、Web上で資産価値を知ることも可能です。例えば、AIを活用した査定サービス「KAITRY」などを利用すれば、マンションの場合は、マンション名と基本情報(広さ、間取り、階数)を入力するだけで、簡単に資産価値を知ることができます。戸建ての場合は、現在「戸建住宅用」に同サービスを開放していないため下記までご連絡頂けますと知ることができます。

まとめ|決めなくていい。親の「本当の気持ち」を共有する。

重い話を切り出すのは勇気が要ります。しかし、その勇気こそが、未来の家族を守る最大の「親孝行」であり「家族孝行」です。

私たちが話すべきは、親の人生の最終章を、家族みんなでどうサポートしていくかという、前向きな「家族プロジェクト」です。

この対話を「先送り」にする最大のリスクは、親が病気や認知症で「意思」を示せなくなることです。そうなれば、残された家族が、本人の希望がわからないまま重い決断を迫られ、「あの時、聞いておけば…」と生涯後悔することになりかねません。

この記事で挙げた5つのテーマは複雑に絡み合っています。だからこそ、一度に全てを解決しようと焦らないでください。

今回の帰省のゴールは「決定」ではなく、「現状把握」と「意向の確認」です。 「うちの現状はどうなっているのか」「親は、本当はどうしたいのか」 この二つを家族全員で共有できれば、それだけで今回の帰省は「大成功」です。親の気持ちを尊重し、一緒に考える姿勢を見せる。

この年末が、あなたとご家族にとって、未来の「安心」と「円満」に繋がる、実りある対話の第一歩となることを願っています。


(編集・執筆/property technologies 永江 直人)

適用に際しての具体的な注意点
・上記は令和7年10月末時点の適用法令・通達等に基づき記載しております。
・上記事例等は一例であり実際に適用する場合にはご自身が適用要件を満たしているか専門家等にご確認の上適切にご対応頂きますようお願い致します。
・本記事の記載内容にあてはめて適用することを保証するものではありませんのでご留意願います。

監修/大谷 修太(おおたに しゅうた)

齋藤久誠公認会計士・税理士事務所

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
宅地建物取引士

2012年にみずほ銀行へ入社後、2014年みずほ信託銀行へ出向。
2024年まで相続・事業承継・不動産を専門とするコンサルタントとして毎年100家族以上のご相談に対応。現在は独立し「相続や事業承継で経済的に不幸になるご家族を一人でも減らしたい」という理念のもと、幅広い層の皆さまに最適なソリューションを提供。

株式会社property technologies(プロパティ・テクノロジーズ)について

「UNLOCK YOUR POSSIBILITIES. ~テクノロジーで人生の可能性を解き放つ~」というミッションを掲げています。年間36,000件超の不動産価格査定実績やグループ累計約13,500戸の不動産販売で培ったリアルな取引データ・ノウハウを背景に、「リアル(住まい)×テクノロジー」で実現する「誰もが」「いつでも」「何度でも」「気軽に」住み替えることができる未来に向け、手軽でお客様にとって利便性の高い不動産取引を提供しています。

<会社概要>
会社名:株式会社property technologies
代表者:代表取締役社長 濱中 雄大
URL:https://pptc.co.jp/
本社:東京都渋谷区本町3-12-1 住友不動産西新宿ビル6号館12階
設立:2020年11月16日
上場:東京証券取引所グロース市場(5527)

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